川崎の殺傷事件、元農水次官の事件、引きこもりについて叫ばれています。
40代~50代と私の同世代。
正直なことを言うと他人事に思えないんです。
私も超就職氷河期世代。
当時は運よく企業に就職できましたが、1年で辞めてフリーターになりました。
しかし、社会は厳しかった。
「石の上にも三年。できない奴はどこに行ってもダメだよ。」
「社会って甘くない。逃げ癖のある奴は何しても続かない。」
プレッシャーをかけられ、一度でも会社を辞めた者は負け組、、と閉塞感を感じてました。
自分は社会の不適合者。
就職しようと思っても採用がなくリスタートできない。
働けない状況では、「自分は社会に必要のない人間なのかもしれない」と思ってしまうんです。
そんな時、家に居場所を求めてしまう。
私の運が良かったのは、自分のやりたいことがあったし、チャレンジすれば道が拓けると思っていたから。
もし、その思考がなければ引きこもりの道に入っていたかもしれません。
事件に対しては許されるものではありません。
ただ、同年代の引きこもり世代とか、ロストジェネレーション世代と言われると、当時の就職への閉塞感は当事者じゃないとわからないんだろうと思います。
私たちは時代を選べるものではありません。
だからこそ、どんな時代になって未来を切り拓ける子に育てることが大事だと思います。
現在の私は「家庭で体験学習を取り入れよう」と伝えています。
脳科学の先生と出会い、「体験」が脳を鍛えるという科学的根拠がわかりました。
現代のような便利で快適で身体を動かさない環境は、脳を鍛えられないのです。
特に、生きる上で重要な「感情コントロール力」が身に付き辛い。
スマホですぐに欲しい情報が手に入り、お金があれば何でも買える。
そんな環境では感情をコントロールする必要がありません。
だから身に付かないのです。
テレビでニュースを見ている時に、その事件の要因はなにか?と注視しながらみてください。
ほとんどが「感情に振り回されて」います。
社会で感情のまま生きていくとどうなるでしょうか?
お腹が減った → コンビニに入りお金を払わずその場で食べる → 窃盗で逮捕
ムカつく → 殴る → 暴行で逮捕
極端な例ですが、人間社会では感情をコントロールする必要があるのです。
この感情コントロール力。
専門的な言葉を使うと脳の帯状回という部位が関係します。
脳の司令塔とも言われ、精神疾患などにも関わっています。
感情はストレスがあると必ず活性化。
その時に司令塔がしっかりしていると、うまくコントロールし、ストレスさえもプラスにできるようになるのです。
司令塔である帯状回。
どのようにして鍛えるのか?
答えは「体験」です。
良いも悪いも体験すること。
失敗したり苦しく悲しいことに向き合うからこそ鍛えられます。
この失敗を基に「どうあるべきか?」と考えさせ、トライ&エラーを繰り返す。
時には大人から叱られることもあるでしょう。
体験とは自分自身の身体で感じることですから、自分事として考えるようになります。
自ら考え行動し失敗に向き合っていくことができます。
この体験を土台に、人としてどうあるべきか?を考えていくと帯状回が鍛えられます。
リアルな体験が人間学につながり、感情をうまくコントロールできるようになるのです。
家庭で楽な家電ばかり。
指一本で終わる家事など楽な状況に溺れると大人も子どもも感情をコントロールできなくなります。
人は楽したいと思うもの。それは本能です。
楽は助かるけれども、マイナスになっていることも知っておくこと。
今の親は昔の親に比べても忙しいです。
理由は便利になったネット環境により情報量が全く違うから。
仕事にもスピードが求められ、脳が疲れるのも当たりまえです。
楽になる機械を求めますよ。それだけ一生懸命に働いているのですから。
そんな中、子どもをもつご家庭では、月に一度でも良いので子どもと包丁を持って料理をしたり体験を楽しんでほしい。
子どもが包丁で手を切ったらかわいそうと思います。
親がその感情をコントロールして、子どもが手を切ってしまうことでリアルな失敗体験ができ、感情コントロール力が身に付くチャンスだとプラスに考えて欲しいのです。
感情そのものは生きる上での生命力とも言えます。
楽を求める自分自身の感情を否定しないでください!
感情は強烈な動機でありパワーにもなります。
自分の感情を認めた上でコントロールすること。
感情がマイナスだと言っているのではありません。
この先の未来はどうなるのでしょうか?
自然災害の懸念もありますし、人口減少やAIなどの不安な情報はあふれています。
どんな時代になっても、チャンスに変えたくましく生きていく子に育てることが子どもたちへのギフト。
そして、その社会をつくっていくのも私たち大人の役割。
一国は家庭から創られると言われます。まずは私たちの家庭から体験の場をつくっていきませんか?
ちなみに、帯状回という部位についてクローズアップしましたが、脳は複雑です。
あらゆる部位が連携し合って機能します。
前頭葉や視床下部や小脳などもコントロールの機能を司りますので、結局は脳全体を鍛えていくことが求められます。
地あたまを鍛えることです。
引きこもりで苦しむのは子どもだけではありません。親も苦しんでいます。
親はこの時代の中で正しいと思って必死に生きてきたのです。でも過ちになってしまったのが今回の事件。
これからますます便利で快適な時代が来ます。
大人も子どもも、よりストレスに弱くなるだろうと予想されています。
引きこもりが増えていくのではなく、減らしていく動きをつくること。
もちろん、家庭だけではなくリスタートできるような社会のあり方も変わっていかないといけません。
精神疾患などの地域の理解やサポートも必要です。
親が子どもの脳のタイプを理解し、子どもを認めることができていれば結果は変わっていたと思います。
知っていれば、、、。
私は、どんな時代でも希望をつくっていく子になる新しい教育法を伝えていきたいと思います。
ひとねるアカデミー
佐藤陽平